<映画情報>ホーギーの気ままに映画の旅
おすすめの「ハリウッド映画」&「最新洋画情報(毎週土曜日アップ)」&「ちょっとしたこだわり情報」を紹介していきます。 みなさん、お気軽にコメントとTBどうぞ!
バベル
本作品のキーワード : 『現代社会におけるバベルの塔とは』 

バベル スタンダードエディション【公   開】 2007年
【時   間】 143分
【製 作 国】 アメリカ
【監   督】 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
【出   演】 ブラッド・ピット          ケイト・ブランシェット
        ガエル・ガルシア・ベルナル  アドリアナ・バラーザ

ストーリー

旧約聖書の“バベルの塔”をモチーフに描き出す衝撃のヒューマン・ドラマ。モロッコ、アメリカ、メキシコ、日本、それぞれの場所で孤独な魂どうしが織りなす愛と哀しみ、再生への希望の物語が同時並行で鮮やかに綴られていく。

モロッコ。山羊飼いのアブドゥラは知り合いから一挺のライフルを買い、それを山羊に近づくジャッカルを追い払うためとして息子の兄弟アフメッドとユセフに与えた。すると、兄弟は遠くの標的めがけて遊び半分で射撃の腕を競い合い、ユセフが山間部を走ってくる一台のバスに引き金を引く。

そのバスには、一組のアメリカ人夫妻リチャードとスーザンが乗り合わせていた。彼らは、生まれて間もない3人目の子供を亡くしたことがきっかけで壊れかけた絆を取り戻そうと、2人だけで旅行にやってきた。

ところが、どこからか放たれた銃弾が運悪くスーザンの肩を直撃。リチャードは血まみれの妻を抱え、医者のいる村へと急ぐ。

一方、夫妻がアメリカに残してきた幼い子供たちマイクとデビーの面倒をみるメキシコ人の乳母アメリア。息子の結婚式に出るため帰郷する予定が、夫妻が戻らず途方に暮れる。やがて彼女は仕方なく、マイクとデビーも一緒に連れてメキシコへと向かうのだった。

日本。妻が自殺して以来、父娘関係が冷えきっている東京の会社員ヤスジローと女子高生になる聴覚障害者の娘チエコ。また、チエコは満たされない日々に孤独と絶望を募らせていた。

そんな中、モロッコの事件で使用されたライフルの所有者として、ヤスジローの名前が浮かび上がることに・・・。

コメント

本作品のタイトルである『バベル』。この映画のテーマを実に見事に表したタイトルです。
このバベルとは、旧約聖書にある町の名前で、同じ言葉を話していた町の人々が天まで届くバベルの塔を建てようとしたことを神が快く思わず、人々に別々の言葉を話させるようにした結果、人々は統制がとれず全世界に散って行ったと言われています。

本作は、モロッコ、アメリカ・メキシコ、東京と遠く離れた場所におけるそれぞれのシチュエーションの中で、「心の壁&言葉の壁(境界)」というテーマをあるひとつの事件をきっかけとし、その壁を解消することによって、観る者に前向きに立ち向かう大切さを教えてくれるとても考え深い作品です。
なお、本作のテーマは映画「クラッシュ」と相通じるものがあるような気がします。

中でも、子供を亡くしたことがきっかけで2人の間に溝ができてしまったアメリカ人夫婦の妻スーザンは、自らの生死の境を経験することにより、子供の死を乗り越えることができ、夫婦の心の壁が取り除かれるストーリーには感動を覚えます。そして、この夫婦の微妙な関係を演じたブラピとケイト・ブランシェットの演技が実に素晴らしかったと思います。

また、聴覚障害者で言葉が話せないことによる世間との心の葛藤と壁を見事に演じた菊池凛子の迫真の演技も見応えがありました。ラストでチエコが刑事に渡した手紙の内容は気になるところですが、彼女は、母の自殺の原因が自分の病気のせいだと思っていたのではないでしょうか。

この映画は、観る人によってその受け止め方はそれぞれ異なるような気がしますが、死を乗り越えたスーザン、兄を助けたいためにライフルを壊して警察の向ける拳銃に向かって歩き出したユセフ、いずれも問題に前向きに立ち向かうことによって、自らの力で行動して解決していくことの大切さを感じました。

エンディングでチエコ親子が住んでいる高層マンションからズームアウトされますが、これが現代におけるバベルの塔を象徴しているような気がします。監督の目には、東京が欲望と放漫さの象徴に思えたのかもしれません。

一口メモ

★本作でブラピとケイト・ブランシェット夫妻の子供デビー(妹)を演じたエル・ファニングはダコタ・ファニングの妹です。
  
<第79回アカデミー賞>
作曲賞  オスカー受賞
作品賞、監督賞、助演女優賞(菊池凛子、アドリアナ・バラーザ)、脚色賞、編集賞
  以上、ノミネート
ちなみに、第76回は、「ディパーデッド」が作品賞と監督賞(マーティン・スコセッシ)を受賞した年でした。



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フィラデルフィア
フィラデルフィア【公   開】 1994年
【時   間】 125分
【製 作 国】 アメリカ
【監   督】 ジョナサン・デミ
【音   楽】 ブルース・スプリングスティーン
【出   演】 トム・ハンクス      デンゼル・ワシントン
        ジェイソン・ロバーズ  アントニオ・バンデラス
【ストーリー】
フィラデルフィアの一流法律会社に務めるベケット(トム・ハンクス)は、ある日突然エイズと宣告され、ウィラー社長(ジェイソン・ロバーズ)に解雇される。

不当な差別に怒ったベケットは、損害賠償と地位の保全を求めて訴訟を決意。だが、次々と弁護を断わられた彼は、以前敵同士として渡り合ったやり手の弁護士ミラー(デンゼル・ワシントン)を訪ねる。

ミラーはエイズに対して、抜きがたい恐怖を感じていたが、世間の冷たい視線に対しても毅然と対処し、熱心に資料を漁るべケットの姿に、ミラーの心は動かされ、彼の弁護を引き受ける。

解雇から7カ月後、フィラデルフィアで注目の裁判が行われるが、ベケットの症状は次第に悪化していく。そして、ベケットは裁判中に倒れ、病院に運ばれることに・・・。

【コメント】
本作はエイズを理由に不当解雇された主人公ベケットが、勤務先の弁護士事務所と自らのエイズという病を相手に闘う感動の社会派ドラマです。また、エイズに対する差別・偏見・恐れというシリアスなテーマを正面から取り組んだ注目すべき作品です。

本作の注目は、それまでのコメディー映画から一変して、エイズ患者というシリアスな役を見事に演じたトム・ハンクス、前年に「マルコムX」でオスカーにノミネートされた売出中のデンゼル・ワシントン、そして、当時スペインでは有名でもハリウッドではまだ新鋭のアントニアオ・バンデラスという今やハリウッドを代表する3人の若く初々しい姿を見ることができます。その中でも、本作で初のオスカー主演男優賞を受賞したトム・ハンクスの迫真の演技は、映画史上に残る素晴らしいものだと思います。

全てにおいて自由な国アメリカにおいて、ゲイやエイズに対する差別や偏見について、社会に投げかけたこの映画の存在価値は大きいと思います。映画の中でベケットが言った「エイズは、身体の障害に加え、エイズへの偏見により、彼らが死に至る前に、社会的な死まで強いる」との言葉が、まさにそのことを表しているのではないでしょうか。

そんな中で、訴訟を決意したベケットに「大変な勇気だ、誰が何と言おうと恥じることはない。わしらはお前を誇りに思う」「私は偏見に負ける子は育てなかったわ、堂々と闘いなさい」と言った彼の両親の言葉にとても感動せずにはいられませんでした。

この映画の中で、オープニングで流れるブルース・スプリングスティーンの「Streets of Philadelphia」の曲とフィラデルフィアの美しい街並みのコラボレーションが実に印象的で、観ている者に美しさと切なさを感じさせてくれます。曲と映像と次の詩がこの映画をいつまでも忘れられない名作として心の中に残っています。

「夜は更け眠れぬまま横たわる、僕はこのまま消えてしまうのか、兄弟よ偽りのキスでもいい、こんな僕を受けれいてくれ、フィラデルフィア街で・・・」

★作品の舞台がフィラデルフィアなのは、その名が古代ギリシア語で「兄弟愛の市」を意味する(フィロス=愛、アデルフォス=兄弟、ア=都市名につく語尾形)」ことと、アメリカ合衆国の最初の首都だったことに由来するようです。

【一口メモ】  
<第66回アカデミー賞>
主演男優賞(トム・ハンクス)、主題歌賞(ブルース・スプリングスティーン、ニール・ヤング)
  以上、オスカー受賞
脚本賞、メイクアップ賞
  以上、ノミネート
本作でオスカー主演男優賞を受賞したトム・ハンクスは、翌94年も「フォレスト・ガンプ」で主演男優賞を受賞し、スペンサー・トレイシー以来、史上二人目の2年連続主演男優賞受賞となりました。
なお、第66回は、「シンドラーのリスト」が作品賞と監督賞(スピルバーグ)を受賞した年でした。
また、レオナルド・ディカプリオが、「ギルバート・グレイプ」で助演男優賞にノミネートされています。

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ガープの世界
ガープの世界【公   開】 1983年
【時   間】 137分
【製 作 国】 アメリカ
【監   督】 ジョージ・ロイ・ヒル
【出   演】 ロビン・ウィリアムズ    メアリー・ベス・ハート
        グレン・クローズ       ジョン・リスゴー

【ストーリー】
看護婦のジェニーは、男には束縛されず子供だけが欲しいという思いから、病院に運び込まれた傷病兵と一方的にセックスする。やがて生まれた子供はガープと名づけられた。

思春期を迎えた学生ガープは、所属するレスリング部のコーチの娘へレンに恋をする。

だがある日、ジェニーとガープは突然ニューヨークへ経ってしまう。親子は揃って小説家を志すようになり、ジェニーはウーマン・リブのベストセラー作家となる。

ガープも作家の才能が開花し、へレンと結婚。子供も授かり、順風満帆な人生を送るかにみえたのだが・・・。

【コメント】
人生における相反するものor対照的なものである「生と死」「男と女」「愛と裏切り」「親と子」の素晴らしさや問題点を、「性」というテーマを中心に、あえて軽いタッチで描き、ガープとその母の波瀾万丈な人生を通じて、見事にまとめ上げた本作は、80年代の名作のひとつと言えると思います。



本作品の中心的なテーマである「性」。
ガープを出生するためにとった母の「性行動」、ガープの幼なじみの「女姉妹との性」、夫婦の「浮気の性」、オカマ・売春婦・ウーマンリブの「少しねじれた性」、そして、最も歪んだ性の対象としてのぞき見していた「プーの性」を絶妙にシンクロさせたストーリー展開が実に見事です。

そして、思うにそれらと対照的な存在である「穢(けが)れのない性」の象徴として、オープニングとエンディングで、赤ちゃんを映し出していたのではないでしょうか。



原作(ジョン・アービングの半自伝的ベストセラー小説)を映画化するのは不可能と言われていた傑作を、見事に感動作品として描き上げた名匠ジョージ・ロイ・ヒル監督(「明日に向かって撃て!」「スティング(オスカー受賞作品)」)は、まさに巨匠と呼ばれるのに相応しい監督です。

そして、個性的かつ魅力的なキャスト陣によって、この作品が名作に相応しいものになっています。
主演のR・ウィリアムズの人間味溢れる演技はもちろん、なんと言っても、非常に個性的なガープの母を演じたグレン・クローズとその友人で性転換した元フットボーラー役のジョン・リスゴーの演技がインパクトがあり、とても印象に残ってります。

2人の演技はこの作品で、アカデミー賞の助演女優賞と助演男優賞にそれぞれノミネートされるだけの内容だっと思います。



また、BGMにビートルズの曲を使っているのが何ともいいですよね。

【一口メモ】
<第55回アカデミー賞>
助演女優賞(グレン・クローズ)、助演男優賞(ジョン・リスゴー)
  以上、ノミネート
ちなみに、助演女優賞は「トッツィー」のジェシカ・ラングが、助演男優賞は「愛と青春の旅立ち」のルイス・ゴセット・Jrがそれぞれオスカーを受賞しました。
また、第55回は、「ガンジー」が、作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞、撮影賞などを受賞した年でした。
 
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リバティーン
本作品のキーワード : 『Do you like me now?』 

リバティーン【公   開】 2006年
【時   間】 110分
【製 作 国】 イギリス
【監   督】 ローレンス ダンモア
【出   演】 ジョニー デップ      サマンサ モートン
        ジョン マルコヴィッチ   ロザムンド パイク

【ストーリー】
1660年代、王政復古のイギリス。国王の親族が居並ぶ大事な宴の席で卑猥な詩を朗読して、国王の怒りを買い、幽閉されていた第二代ロチェスター伯爵ジョン・ウィルモット(17世紀に実在した英国の詩人)。恩赦を受けて3ヵ月ぶりにロンドンへと戻ってくる。

しかし、ロンドンでは相も変わらず悪友たちと酒を酌み交わし、娼婦を抱く放蕩の日々。
そんなある日、ジョンは訪れた芝居小屋で、観客のブーイングを浴びていた若い女優エリザベス・バリーに目を留める。彼女の隠れた才能に気づいたジョンは自ら演技指導を申し出る。

悪名高いジョンを警戒して固辞するバリーだったが、ジョンの熱意に押し切られ、翌日から2人は一対一で稽古を開始するのだったが・・・。

【コメント】
ジョニーは本当に素晴らしい役者だ!』、『この映画自体が、ある意味で壮大なオペラ映画のようだ』そして、『リバティーンであるが故の、孤独・苦悩・挫折を描いた見事な映画だ』というのが、この作品を観終わった率直の感想です。

ちなみに、リバティーンとは『道徳的(性的)に束縛されない人、放蕩者、道楽者、自由思想家』という意味だそうです(語源は、ラテン語のlibertinus(解放された奴隷)だそうです)。

この映画をジョニーは「生涯に一度しか巡り逢わない作品」とまで言って惚れ込んだだけあって、美貌とお金を持ちながら本当の心を満たすことができず、最後は、梅毒に侵され堕落していくジョンを、全身全霊で見事に演じたジョニーの底知れない役者としての実力とそのカリスマ性に、ただただ圧巻されました。この役を演じられるのは、まさにジョニー以外には考えられません。

ロングヘアー+貴族衣装の美しくもカッコよく、かつ色気を振りまきながら華麗に伯爵を演じた前半はもちろんのこと、その後、アルコールと梅毒に侵され顔も体もボロボロになってからの迫真の演技が実に素晴らしく、特に妻エリザベスの前で泣き崩れるシーンやラスト議会での演説するシーンに新たなジョニーを観たような気がします。

前半は女性を酔わせるひとつのアイテムとしていつも持ち歩き利用していたステッキが、後半は自分の醜態を支える唯一のものになってしまったこのステッキが、とても印象に残っています。

本作品では、ジョニーの他にも、金の力を借りてでも権力を守ろうとする国王を演じたジョン・マルコビッチ、自分の意志を貫き通した女優エリザベス・バリーを演じたサマンサ・モートン、最後までジョンを愛し続けた妻を演じたロザムンド・パイクらの個性的でかつ見事な演技があったからこそ、このような素晴らしい作品となったのだと思います。

ところで、オープニングの「初めに断っておく。諸君は私を好きにならないだろう」「私を好きにならないでくれ」の言葉は、まさに自虐的なジョンを象徴したのであるのに対し、エンディングの「さて、諸君、これでも私を好きか?」の言葉は、対照的に悪魔から解き放たれたジョンの本心が象徴されていて、ともて興味深いです。

「実人生に何も感じないから芝居で心を動かされたい、感動したいのだ。人の行動には何の力もない。だが芝居小屋では善悪すべての行為に結果がついてくる。芝居は俺にとっての唯一の薬だ。」とジョンがバリー言ったこのシーンが、リバティーンであるジョンの想い全てが語られ、とても印象的でした。

ところで、本作のロチェスター伯爵ことジョン・ウィルモットは、『ネバーランド』のジェームズ・バリとある意味で正反対なキャラクターではありますが、共通点の多い似ている2人ではないでしょうか。

【一口メモ】 
ジョニーは、本作品の脚本の冒頭3行を読んで出演を決めたほどの特別な映画のようです。また、元々この物語は舞台劇として生まれ、シカゴで上演された時には、本作で国王を演じたジョン・マルコヴィッチが、主人公ジョン・ウィルモットを演じていました。

そのジョン・マルコビッチは、「コン・エアー」 「ベオウルフ/呪われし勇者」など多数に出演の他「マルコヴィッチの穴」の題材になるなど、個性的な実力派として活躍しています。

女優エリザベス・バリー役のサマンサ・モートンは、「ギター弾きの恋」でショーン・ペンの相手役でアカデミー賞の助演女優賞にノミネートされ、そのほか「マイノリティ・リポート」の“プリコグ”役が印象的でした。

ジョンの妻役のロザムンド・パイクは、「007/ダイ・アナザー・デイ」のボンドガールとしてデビューし、「プライドと偏見」でも活躍してます。

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マディソン郡の橋
本作品のキーワード : 『生涯に一度の確かな愛』 

マディソン郡の橋【公   開】 1995年
【時   間】 135分
【製 作 国】 アメリカ
【監   督】 クリント・イーストウッド
【出   演】 クリント・イーストウッド    メリル・ストリープ
        アニー・コーレイ        ヴィクター・スレザック

【ストーリー】
アイオワ州マディソン群の片田舎。農場主の妻フランチェスカは、夫と2人の子供に囲まれ平凡な主婦として穏やかな毎日を送っていた。

そんなある日、夫が幼い子供2人を連れて4日間遠方へ出掛け、一人で家の留守をしていた彼女の所へある男が道を尋ねてくる。男の名はロバート・キンケイド。旅のカメラマンで、この近くの屋根のある橋ローズマン・ブリッジを撮影に来たが道に迷ったという。

橋までの道案内に車に同乗したフランチェスカ。それは2人にとって、永遠に心に残る4日間の始まりであった・・・。

【コメント】
本作は、ただの不倫をテーマにした映画ではなく、生涯に一度出会えるかどうかの男女の“本当の愛”を描いた大人の恋愛映画です。そして、監督イーストウッドのすべてのものに対する「美しさ」へのこだわりを感じました。例えば、ローズマン・ブリッジ、マディソン郡の景色、キッチンでキスをしながらのダンスシーン、真の自分を見い出した直後に若く美しくなったフランチェスカ、そして、本当の愛そのものが、特に美しく描かれていました。

また、2人の恋愛を中心にしながらも、子供たちの上手くいっていない夫婦生活をオーバーラップさせ、母の4日間の出来事を徐々に知ることによって、自分たちの夫婦生活を見直していく視点を入れたストーリーも見事です。

そして、なんと言ってもこの映画は、イーストウッドとメリル・ストリープという名優の見事な演技に尽きるのではないでしょうか。特に、本当の愛と大切な家族の間で葛藤するフランチェスカを抜群の演技力で演じきったメリル・ストリープはさすがオスカー女優です。

ラスト近くの降りしきる雨の中での別れのシーン(キンケイドがバックミラーにフランチェスカからもらったペンダントを括り付ける場面とフランチェスカが車からまさに降りようとドアノブを動かそうとする場面)は、あまりにも切なくて、忘れることができません。

そして、「私は家族に一生を捧げました、この身の残りは彼に捧げたいのです」という火葬を望む理由がバックに流れる中、ローズマン・ブリッジから灰を蒔くシーンは、感動のあまり涙が止まりませんでした。

きっと、あなたもこの映画によって、愛することの素晴らしさと切なさを改めて感じることでしょう。

【一口メモ】  
<第66回アカデミー賞>
主演女優賞(メリル・ストリープ)にノミネート
ちなみに、この年の主演女優賞は「デッドマン・ウォーキング」のスーザン・サランドンが受賞しました。

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レインマン
本作品のキーワード : 『My main man』 

レインマン (ベストヒット・セレクション)【公   開】 1989年
【時   間】 134分
【製 作 国】 アメリカ
【監   督】 バリー・レヴィンソン
【出   演】 ダスティン・ホフマン    トム・クルーズ
        ヴァレリア・ゴリノ      ジェリー・モルデン

【ストーリー】
自由奔放な青年が重度の自閉症の兄と出会って心を開き、忘れていた愛情を取り戻して行く過程を描いた心暖まる感動のロード・ムービー。

高級外車のディーラーをしているチャーリー(T・クルーズ)の元に、自分を勘当した父の訃報が届く。遺産目当てに故郷に戻った彼だったが、遺産の300万ドルは、始めてその存在を知った自閉症の兄、レイモンド(D・ホフマン)の手に渡る事を聞かされる。

なんとか遺産を物にしようとチャーリーは、施設にいるレイモンドを誘拐まがいに連れ出し、ロスに戻ろうとするのだったが・・・。

【コメント】
遺産欲しさに自閉症の兄を施設から連れ出した弟のチャーリーが、20年以上施設から出たことのない兄と7日間の旅を続け、様々な体験をしていくうちに、本当の兄弟愛に目覚めていく、お互いの心の変化を描いた感動の名作です。

2人の兄弟が徐々に心を通わせていく展開とエピソードが絶妙である脚本の素晴らしさと、それらをシンクロするBGMと、そして、美しい景色のシーンが印象的で、アカデミー賞作品賞受賞となった80年代を代表する不朽の名作だと思います。

本作品におけるD・ホフマンの自閉症の演技には圧巻されました。アカデミー賞主演男優賞受賞も納得の素晴らしい演技です。
施設外の世界に対する不安感、嬉しさ・喜びを上手く体で表現できない様を実にうまく表現しています。
特に、人と抱き合うことが怖くてできない彼が、最後に心が通じ合った弟の頭に自分の頭を寄せるシーンには感動しました。

一方、D・ホフマンの演技のみに注目が行きがちですが、T・クルーズの最初は悪戦苦闘するが徐々にお金ではなく、本当に兄を慕う気持ち(兄弟愛)に変わっていく姿を実に見事に演じていると思います。トップガンで一躍スターとなった彼が、この役をきっかけに役者として幅が広がったと思います。

久しぶりに本作を観て、レイモンドが施設に入った理由やレインマンの名前の意味が分かったり、エンド・ロールでセピア色の2人の旅の思い出の写真が映し出されていたなど、新たな発見もありました。

何回観ても、レイモンドの天才的な数字の才能を活かしてカジノで稼ぐシーンは痛快で楽しく、また、エレベーターの中で、チャーリーの彼女とダンスするシーンは印象的です。

そして、観終わった後、とても優しい気持ちにさせてくれる素晴らしい映画だと思います。

【一口メモ】  
<第61回アカデミー賞>
作品賞、監督賞、主演男優賞(ダスティン・ホフマン)、脚本賞
  以上、オスカー受賞
撮影賞、作曲賞、編集賞、美術賞
  以上、ノミネート

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モリー先生との火曜日
本作品のキーワード  :   『愛・恐れ・生きること』 

モリー先生との火曜日【公   開】 1999年(日本未公開)
【時   間】 90分
【製 作 国】 アメリカ
【監   督】 ミック・ジャクソン
【出   演】 ジャック・レモン    ハンク・アザリア
        ウェンディ・モニツ   キャロライン・アーロン
【ストーリー】
TVや新聞のコラムニストとして多忙を極めるスポーツライターのミッチ(ハンク・アザリア)は、ある日、偶然テレビで大学時代の恩師・モリー教授(ジャック・レモン)が、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)に冒され余命幾ばくもないことを知る。

長い間、音信不通にしていたミッチは、毎週火曜日学生時代「コーチ」と呼んだモリー教授を訪ね、人生についての最終講義を受けるようになった・・・。

【コメント】
本作品は、劇場未公開作品だったため、それまで知りませんでしたが、友達のカナダ人から勧められて観ました。

劇場公開されていない映画でもこんな感動作があることに驚きました。

自ら死期が確実に近づいていることを知りながら、その事実を受け入れているモリー教授が、自らの命を賭けて、大学時代の教え子のミッチに「愛」「恐れ」「人生」「生きること」について教える姿に感動するとともに、自分のこれからの生き方について考えさせられました。
自分がモリーの立場になったとき、果たして、同じように前向きに考えることができるかどうか、今はまだ自信がありません。

この映画は、セリフ一言一言が本当に心に残っています。
中でも、「赤ん坊は人に依存しないと生きられない、死ぬ間際も人に依存する、だがその間にも人が必要だ、愛し合わなければ死ぬ、死に方が分かれば生き方が分かる」という
セリフが特に印象的でした。

本作が、ジャック・レモンの遺作になったのことも考え深いものがあります。

マイナーな作品ですが、是非、皆さんに観て欲しい映画です。

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ギルバート・グレイプ
ギルバート・グレイプ【公   開】 1994年
【時   間】 117分
【製 作 国】 アメリカ
【監   督】 ラッセ・ハルストレム
【出   演】 ジョニー・デップ     レオナルド・ディカプリオ
        ジュリエット・ルイス  ダーレン・ケイツ
【ストーリー】
自分が生まれ育ったアイオワ州の小さな町から、生まれてから一度も出たことが無いギルバート。

彼には重度の知的障害を伴う自閉症のある弟アーニー、夫の自殺から7年の間家から出たことがない肥満で過食症の母、二人の姉妹がおり、食料品店で働きながら家族の面倒を見ていた。

そんな時、旅の途中でトレーラーが故障し、ギルバートの町にしばらく留まることになった少女ベッキーと出会うが・・・。

【コメント】
大切な家族のために自分の意志を抑えながら暮らしているギルバートが、トレーラーハウスで自由に旅を続けるベッキーに次第に惹かれていく中で、微妙な心の揺れ動きを見事に表現したジョニー・デップの演技は最高です。

その中でも、弟を優しく見守るジョニー・デップの切なく優しい目が印象的です。子どもの頃に両親が離婚し家族に対する愛情・想いが特に強いジョニー・デップだからこその自然な演技なのかもしれません。


ジョニーファンはもちろんのこと、映画ファンなら押さえておくべき作品です。本作はジョニー映画ベスト3に入る作品だと思います。

それとこの作品の魅力の一つが、ディカプリオの感心させられるほどの演技力です。

どちらかと言うと、ただのアイドル俳優とのイメージが強い彼ですが、本作のように知的障害を伴う自閉症の役や、「ディパーテッド」で、いつ正体が、ばれるか分からない常に緊迫状態にある囮捜査官役など、ちょっと精神状態が普通じゃない役柄を演じるときは、非常に良い味を出していると思います。

若干19歳のディカプリオが、本作品でアカデミー助演男優賞にノミネートされたのも納得です。たぶん、彼の作品の中でも一番だと思います。


【一口メモ】
兄弟役を演じた二人ですが、その後、「ネバーランド」のジョニーと「アビエイター」のディカプリオが第77回(2004年)のアカデミー賞主演男優賞で競うことになります。
ちなみに、オスカーは「Ray/レイ」の ジェイミー・フォックスでした。



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Ray / レイ
本作品のキーワード  :  『GEORGIA ON MY MIND』 

Ray / レイ【公   開】 2005年
【時   間】 152分
【製 作 国】 アメリカ
【監   督】 テイラー・ハックフォード
【音   楽】 レイ・チャールズ
【出   演】 ジェイミー・フォックス     ケリー・ワシントン
        クリフトン・パウエル      ハリー・レニックス
【ストーリー】
“ソウルの神様”レイ・チャールズの波乱の生涯を綴った伝記映画。

ジョージア州の貧しい家庭に生まれたレイは、ある日、弟が溺死してしまい、そして自らも7歳の時、視力を失う。
しかし、「施しは受けず、自分の足で立って生きなさい」という母の教えを胸に、17歳でシアトルのクラブでデビュー。

盲目の天才と呼ばれるようになる一方で麻薬に溺れ始めるが、その後、レコード会社と契約を結び、ゴスペルとR&Bをミックスさせたソウルミュージックでスーパースターになる。

やがて、ゴスペル・シンガーのデラ・ビーと運命の出会いを果たすレイだったが、またもや麻薬に・・・。

【コメント】
レイ・チャールズ本人からこの役の指名を受けたジェイミー・フォックスは、まさに、レイ・チャールズが乗り移っているとしか思えないほど,本人の特徴を見事にまで捉えたその言動(特に体の左右への揺れ方)に圧倒させられると同時に感動を覚えました。

クリント・イーストウッド、ジョニー・デップ、レオナルド・ディカプリオ、ドン・チードルを押さえて主演男優賞を受賞しただけの演技力だったと思います。

本作品は、ただの伝記映画の域を超えた傑作だと思います。

弟の溺死に対する罪悪感とドラッグ中毒に何度も押しつぶされ、1965年にはジョージア州から追放されながらも、1979年に州議会が追放を撤回し「我が心のジョージア」を州歌とする法案を可決するなどの見事なカムバックには心を打たれました

この映画の製作に深く関わってきたレイ・チャールズが、惜しくも2004年6月10日、映画の完成を待たずして他界してしまったことは、誠に残念でなりません。

【一口メモ】
<第77回アカデミー賞>

主演男優賞(ジェイミー・フォックス)、音響賞
  以上、オスカー受賞
作品賞、監督賞、衣装デザイン賞、編集賞
  以上、ノミネート

この年の作品賞ノミネートは、本作品の他に「アビエイター」「ネバーランド」「ミリオンダラー・ベイビー」「サイドウェイ」と、どの作品が受賞してもおかしくない傑作揃いの近年では最高の年でした。
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クラッシュ
本作品のキーワード : 『クラッシュ』  から生まれる 『心の触れ合い』

クラッシュ
【公   開】 2006年
【時   間】 112分
【製 作 国】 アメリカ
【監   督】 ポール・ハギス
【出   演】 サンドラ・ブロック  ドン・チードル
        マット・ディロン    ジェニファー・エスポジート
【ストーリー】
クリスマス間近かのLA。
「黒人刑事とその同僚で恋人、ペルシャ人の雑貨店経営者、白人に敵意を抱く黒人青年、地方検事とその妻、差別主義者の白人警官とその同僚、黒人TVディレクター夫婦、鍵の修理屋」

など、様々な人種・階層・職業が入り混じり、人種間の摩擦と緊張が高まるLAを舞台に、次々と引き起こされる“クラッシュ(衝突)”よって、彼らの人生は思いがけない形で交錯し、そして、大きく狂い始める・・・・。

【コメント】
車の接触事故以外、他人と接触がもてない稀薄な現代を、様々な種類の物理的・肉体的・精神的な「クラッシュ」を通じて、本来人間が求める心の触れ合いを絶妙に描い
た奥の深い作品です。

本作の監督ポール・ハギスは、「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本を手掛けただけあって、1つの交通事故(監督自身の愛車をカージャックされた事件を原案)をきっかけに本作のテーマを実にうまく描いたストーリーには、さすがと感心させられました。

     全編に人種差別が根底に流れているディープなストーリーの中、
       “怖くて眠れない娘に「透明マント」の話を聞かせてあげるシーン”には
           真の心の触れ合いを感じることができました。

その他、黒人差別の警官が、黒人を爆発しそうな車から必死に助け出すシーンや鍵屋の娘が、父をかばって撃たれたシーンは心から感動しました。


本作は、ただの人種差別をテーマにした映画とは全く異なり、様々な人種や階層の人々の差別・偏見・怒り・哀しみ・憎しみ・喜びという「クラッシュ」を通じて、人々に深く考えさせる素晴らしい作品だと思います。さすがはアカデミー賞作品賞受賞作です。

冒頭のドン・チードルが言った「触れ合いだよ、ロスじゃ触れ合いは皆無、人々はたいてい車の中にいる、でも、触れ合いたいのさ、ぶつかりあって何かを実感したいんだ」が本作品の全てだと思います。

【一口メモ】
<第78回アカデミー賞>

作品賞、脚本賞、編集賞
   以上、オスカー受賞

助演男優賞(マット・ディロン)、監督賞(ポール・ハギス)、歌曲賞
   以上、ノミネート

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